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■刺繍に関するご相談


1「金糸の応急処置」
 患者:黒留袖
 保護者:60代専業主婦

症状:親戚が多く何度も留袖を着ています。先日よく見てみると、金糸の刺繍が外れてきています。今回は日がなかったので、間に合わせに自分で縫い付けてその場をしのぎましたが、まだまだ着る機会がありそうなので、ちゃんと直しておきたいです。外れた部分だけ縫ってもらえますか

「外れた部分だけ直して欲しい」とはよくある依頼ですが、それでは十分ではありません。
依頼の刺繍は駒縫いと呼ばれるもので、柄に沿って這わせた太い金糸を綴じ糸と呼ばれる細い糸で生地に固定する縫い方です。金糸そのものは太いのですが、綴じ糸は細い為に、摩擦によりすぐに擦り切れてしまいます。特に手荷物を置いたり触れたりすることの多い膝部分がもっとも痛みやすいものです。たとえ外れている部分はわずかでも、その周囲の綴じ糸も少なからず弱っているわけで、切れ易くなってしまっています。
指先でこすってみて金糸が動いたり外れたりするようなら思いきって全部ほどいて縫いかえたほうがよいでしょう。大抵の場合は膝部分だけですみます。


2「不誠実な店主」
 患者:黒留袖
 保護者:30代家事手伝い

症状:症状:先日呉服の展示会へ黒留袖を見に行きました。気に入ったのがあったのですが、上前の金糸が波打ったようになって不恰好でした。店主にここだけ直してくれたら買うと言ったら承知してくれたので買ったのですが、納品されたものを見ると直っていません。店主は直したと言い張りますが、実際金糸は同じように波打ったままです。返品してもよいものでしょうか。

返品はかわいそうでしょう。再加工を依頼すればいいと思います。
おそらく店主さんはちゃんと縫い直しています。それでも金糸が波打ってしまうのには訳があります。
本件の場合、前項と同じ金駒縫いで、生地のななめ方向に直線的に長く刺繍があしらってあります。御存知のように、布は繊維と直角方向には動きませんが、バイアス(ななめ)方向には伸縮します。駒縫いはリングの中を糸が通っているようなものですから。なにかのはずみで生地がななめに引っ張られたときに駒糸は取り残されるような形で生地だけが伸びます。これが再び縮んだときに駒糸は元通りに綴じ糸のリングの中を動くことができず、結果波打ってしまうわけです。
このような場合は生地の伸縮に耐えられる様金糸の数を三倍程増やせばよいです。ほかの解決策としては、刺繍をはずしてしまって、金加工に替えてしまうやりかたもあります。


3「ボリューム感が欲しいのに」
 患者:附下
 保護者:40代着付け教室講師

症状:きものが好きで、染め替えやあつらえの注文もよくします。先日B反市で上手に安い附下(注:つけさげ。簡略な柄の礼装)を買うことができました。少し柄が寂しいように思ったので刺繍を入れてもらうことにしました。身頃、袖、胸と全体にバランス良く入れてもらったのですが、ちっともかわりばえしません。どうしたら良くなるでしょうか。

比較的よくある失敗例です。
金加工を入れたり、全く違う柄を増やしたりするときは、それこそバランスよく全体に入れる必要がありますが、刺繍の場合はいささか事情が違います。すでにある柄の中に刺繍を入れているわけですから、全体的な構図としては変化しないわけです。
上前(膝部分のメインの柄がつく部分)にだけ刺繍が入っていても別にバランスの悪さを感じることはありあません。むしろボリューム感を出すためにはメインの柄に集中的に刺繍を入れた方が効果的です。本件の場合も上前のみに刺繍を増やせばグッとよくなること請け合いです。


4「無茶な着付け師」
 患者:全通袋帯
 保護者:20代OL

症状:友人の結婚式に振袖で出席しました。自分で着ることができないので、親戚のおばちゃんに着せてもらいました。帰って脱いだ後見てみると、変わり結びをしたために帯はしわくちゃになり、刺繍も所々浮いたようになってほつけています。着付けは好意でしてもらっているので、自費で直そうと思いますが、どうすればいいのでしょうか。

しわだらけになった帯はセット加工というものでなおすことができます。
プレス加工のようなものです。問題は柄のほつけです。よく間違う方がいらっしゃいますが、帯は大抵織物であり、刺繍とは違います。
しかし見た目が似ているので、帯のトラブルは刺繍で直すことがあります。柄がほつけた場合も上から刺繍を入れて押さえ込んでしまいます。本件のほつけ部分は比較的糸の渡っている長さが長い為にひっかかりやすくなっていましたので、細かく割ってほつけにくくします。



着物用語解説、参考WEBサイトの情報を提供しています。
ご利用ください。

関連用語解説

駒縫い
附下
上前


着物ことば辞典
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