悉皆屋ロゴ見出し[誂京染イメージ]
更新履歴イベント情報リンクサイトマップ越村染工場お問合わせ先
トップページへ
きもの生活
着物ことば辞典
着物を語ろう
着物クリニックメニュー
着物トラブル対処法
お手入れの仕方
着物なんでも相談
誂京染って、なに?
悉皆って、なに?



悉皆屋-着物クリニック-
着物トラブル対処法見出し


■シミに関するご相談


1「古いシミの黄変」
 患者:訪問着
 保護者:40代主婦

症状:昔着た着物を久しぶりに着ようと思って出してみたら、両胸のところに唇のような形の茶色いシミができていました。 片付けたときはなかったはずです。何が原因でしょうか?また直すことはできますか。

 

汗の跡とみて間違いないでしょう。
胸、首筋、背、帯下、脇、膝の裏などは汗をかきやすく、放置するとシミになり易い箇所です。
汗やお酒などは、乾いてしまうと目で確認するのが難しく、ついそのまま片付けてしまいますが、間違いなく汚れの成分は残っています。これが年月を経ると次第に黄色くなりやがて茶色いシミになります。
こうなるともはやシミ抜きで直すことはできません。今回のケースでは両胸に葉っぱの柄を書き足して隠しました。 本来胸の柄は左胸だけですので、両胸に柄を描くのは決して格好のいいものではありませんが、やむを得ない処置でした。


2「謎の黒点」
 患者:訪問着
 保護者:30代OL

症状:1日着用して片付けようと思ったら、ふくらはぎのあたりに小さな黒いシミが点々とついています。 天候もよく、家とホテルをタクシーで移動したので、泥はねとは思えません。何がついたのでしょうか。

確かに墨がはねたように細かい黒いシミが直径20cmぐらいの範囲にかたまっています。
あまりなじみのないシミでしたので調べてみると、泥、油、煤などの混合物でした。つまりは排気ガスです。おそらく自動車の後ろに立たれたのでしょう。 排気パイプから出る排気ガスが、排気孔付近に付着したタールや泥をはねとばして、着物に付着したのです。
一応シミ抜きを試みましたが、非常に頑固かつ複雑な汚れで、かなり濃く残ってしまいました。 後日濃紺の吹雪(霧状の着色料)をのせることでどうにかかくせました。


3「借りた黒留袖」
 患者:黒留袖
 保護者:50代主婦

症状:結婚式に出席するのに友人が黒留袖を貸してくれました。衿のあたりがファウンデーションで汚れてしまったので、ベンゼンで拭きましたが拭けば拭くほど白っぽくなってしまいます。 借り物なのできれいにして返さなければなりません。どうしたらよいでしょう。

衿が「スレ」を起こしています。
絹は非常に摩擦に弱い繊維で、強くこすると表面がけば立ってしまします。すると光が乱反射するので、平滑な部分にくらべて白っぽく見えてしまいます。見る角度や方向を変えてみると白さが際立ったり目立たなくなったりするので、普通のシミと見分けることができます。
この相談者の場合、このスレを汚れと勘違いし、余計強くこすったためにどんどん悪化してしまいました。濡らして摩擦する。絶対に避けねばならないことです。
スレは、専用の薬剤などを浸み込ませた布でスレ部分を軽くなで付け、毛羽立った細い繊維を同じ方向に寝かしつけます。すると光沢の変化が少なくなり、まわりと同じような色に見えるようになります。しかし、強度のスレになりますと、どのような方法を用いても補正が不可能になります。


4「なぜ白場だけが」
 患者:訪問着
 保護者:60代兼業主婦

症状:古い訪問着を久しぶりに出してみたら、柄の白い部分だけが茶色い斑点で汚れています。何か粗悪な材料を使っているのではありませんか。
 


 

別に粗悪な素材ではありません。
白い部分だけが汚れているということですが、「白い染料」というのはあり得ないもので、「胡粉(ごふん)」と呼ばれる着色剤を使っています。最近のものは亜鉛などを主原料にしていますが、昔は貝殻や卵の白身が使われていました。これはタンパク質を含むために、保存が悪いとカビやすく、相談の茶色い斑点もカビが古くなったものです。
上から胡粉を塗りなおしてきれいにしましたが、シミが濃い茶色になっている部分はうっすらと影が残ったので金粉を入れてかくしました。


5「酒席での失敗」
 患者:紬アンサンブル
 保護者:40代会社員男性

症状:きものパーティの席で、日本酒を袂(たもと)あたりにこぼしてしまい、すぐに固く絞ったおしぼりで拭きました。翌日見てみるとなんともないようです。このまま片付けてもよいものでしょうか。

やはり専門のシミ抜き業者に出したほうがよいでしょう。
おしぼりや濡れタオルで拭くというのは、ついやってしまいがちですが、大きな間違いです。そうすると汚れはおしぼりの含む水分と一緒にどんどん生地の中へ浸透していってしまいます。逆に着物の方を濡らして乾いたタオルで水分を吸うようにします。すると汚れは水分と一緒にタオルに移動します。とは言ったものの、不慣れな人は触らない方が賢明です。
より大きな輪ジミ(生地が濡れた跡の丸い際付き)になったり、裏地を汚してしまったりすると、あとで直すのに余計に費用がかかります。日が経つと次第に変色してきますので、放置せず、すぐにお近くの呉服店に相談してください。


6「吹雪加工」
 患者:小紋
 保護者:20代アルバイト

症状:好きでよく着物を着ます。雑誌を見ていて全体に色吹雪をのせる加工のあることを知りました。汚れの目立つものなどに吹雪を入れればまた着られるようになるでしょうか。

吹雪加工とは手持ちの着物に吹雪のような斑点を入れる加工です。
様々な手法がありますので、目的に応じた手法と色を選べば汚れを隠すにはかなり有効です。
例えばお手持ちの着物がピンクだったとしましょう。これに吹雪を入れる場合、「ピンク地にエンジの吹雪」と「エンジの地色にピンクの吹雪」どちらにも加工できますが、加工法も出来上がりも全く違います。注意が必要です。 「木は森に隠せ」の例えを待つまでもなく、茶色いシミをかくすには茶系の吹雪をいれるのがよいです。ねずみや紫では全然隠れません。あとからなんの為に吹雪をいれたのか後悔することになります。


7「クリーニングに出したものの」
 患者:紋付
 保護者:60代ボランティアグループ代表

症状:あまり着物を着ません。たまには虫干ししないとよくない、とは知りつつも何年もしまいっぱなしです。先日思い切って出してみると、喪服が白いカビだらけになっていました。タオルで軽く拭ってみましたが、一向に落ちないのでクリーニングに出しました。出来上がりを見るとやはり落ちていません。クリーニング店を変えてみても同じことでしょうか。

クリーニングではカビは落ちません。
みなさんも経験的に墨の汚れはベンゼンで落ちないこと、マジックインクの汚れは水で落ちないことは知っておられると思います。カビにしても同じことで、クリーニング店で使うような揮発溶剤ではいくら洗っても落ちません。一度ほどいて水洗いする必要があります。
仕立て上がりのままでも表面のカビは落とせますが、裏地との間の袋状になった部分こそカビが増殖しやすく、いくら表面だけきれいになってもすぐに内から生えてきます。大切なことはカビを生やさないこと、そのためには虫干しが一番です。虫干しをすることで他の様々なトラブルも未然に防ぐことができます。


着物用語解説、参考WEBサイトの情報を提供しています。
ご利用ください。

関連用語解説

訪問着
黒留袖
スレ
胡粉


着物ことば辞典
参考WEBサイト


リンク


[着物クリニック] [きもの生活] [着物なんでも相談] [着物を語ろう掲示板]
[リンク] [イベント情報] [越村染工場について] [ご連絡先]


Copyright © 2003, Koshimura Dyeing Co.,Ltd., All Rights Reserved.