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悉皆屋-着物クリニック-
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■金加工に関する相談


1「変色した金箔」
 患者:黒留袖
 保護者:30代女性

症状:新しく留袖を買いました。先日着ていったところ、親類の者に「金箔が黒ずんでいるよ」と言われました。確かに所々黒っぽくなっています。古い在庫を売りつけられたのでしょうか。

まったくの勘違いです。柄の背景として霞み模様が金箔で入っていますが、これが変色したようにまだらになっています。
これは「焼き箔」と呼ばれるもので、銀箔を硫黄で焼いて変色させ、寂びた味わいを引き出す物です。見たところ、箔加工の面積が結構広いので、無地の普通の箔をいれたのではのっぺりしてしまいます。焼き箔を使ったのは正しい判断だと思います。決して古いものでもなければ、直す必要もありません。
別の例ですが、筒金(柄の輪郭部などによく使われる細い線状の金)はこれは主な原材料が真鍮であり、錆びて黒くなることがあります。これは上から再度金でなぞってきれいにします。


2「剥がれる型箔」
 患者:黒留袖
 保護者:40代教師

症状:留袖を文庫から出そうとしたところ、文庫に金加工が張り付いています。留袖の方を見てみると、雲取り柄の中の型箔がかさぶたのようにめくれかかっています。めくれないようにおさえることはできますか。
 


 

金加工の接着不良による事故です。めくれてしまわないようにそうっと持って来られましたが、これをそのまま押さえるということはできません
一旦全部剥がしてしまって、加工を入れ直します。型箔は生地を真平らに置かないときれいに入りません。縫い目部分など高い箇所があると、その左右で型が浮き上がってしまい、そこが滲んだようになってしまいます。ですから直すときは着物を一部ほどく必要があります。
金吹雪はエアブラシのように吹き付けて加工するので、生地の凹凸はさほど影響せず、仕立て上がりのまま加工できます。型箔の代わりに使うのも一考です。


3「消えた花柄」
 患者:振袖
 保護者:20代事務職

症状:着用後の振袖をクリーニングに出したら、花柄が日焼けの肌のようにぽろぽろ剥がれてきています。完全にクリーニング屋の失敗だと思います。直してもらえるでしょうか。
 


 

決してクリーニング屋さんの失敗とは言い切れませんが、とりかかる前に十分チェックをしなかった非はあります。
また事故の発生を予想しておりながら照会しなかったのなら、なおさらです。言えば直してもらえると思います。

これは一時大量に出回った粗悪な金彩加工です。通常の工程をふまず、無地、またはぼかしなどに染めた生地に型を使って柄を摺り込む方法です。安価に生産でき、見栄えも良いので量販店などでよく売られました。一時業界で問題になり現在では生産されていないと思いますが、まだまだ消費者の手許にはあるわけで、この種のトラブルは絶えません。原因ははっきりしませんが、基本的な接着不良、防虫剤による接着剤の劣化などが考えられています。
補修の方法としては、全部はがして柄を描き直すしかありません。非常に手数と費用がかかる上に、きれいに直らないこともあり、仕事の面でも金額の面でも納期の面でもなかなかお客さまに満足してもらえません。


4「溶ける糊」
 患者:訪問着
 保護者:50代農業

症状:5年ほど前に買った着物ですが、先日出してみたら柄の部分が乾きかけのボンドか何かのようにネバネバしています。どうも金加工が溶けたように見えます。何が原因でしょうか。直せますか。

詳しく説明しますと、柄の輪郭部分に金が入っていますが、ここが著しくネバついています。
これは盛り金と呼ばれる加工で、円錐形の筒の先端に開けた細い口から樹脂糊を絞り出し、これに金箔を貼付ける加工です、光沢があり、立体感もあるので非常に存在感があります。この金箔がはがれてしまい、下の樹脂糊が露出した為にタック(粘着性)が出てしまったものです。
もう一度金箔を貼り直せば済む話ですが、本件の場合、お客さまは故障部分にティッシュをあてて持って来られました。ゆえにそこにティッシュの繊維が付いてしまい、柄に産毛が生えたようになってしまいました。またこれが金箔を貼る際邪魔になりきれいに上げることができませんでした。
セロハンや切り開いたコンビニ袋、シールの台紙などほどほどの強度があり浸透のないものをあてて頂ければよかったのです


5「緑色の線」
 
患者: 附下
 保護者:40代主婦

症状:母の着物を譲り受けました。広げてみると、全然柄と関係のないところに緑色の線が入っています。注意深く見てみると、畳んだときに向かい合う部分に同形の柄があります。どうも何かが写ったようなのですが、何でしょうか。

 


 

ある箇所の故障が他の接触面に及ぶこと、またはその故障のことを打ち合いといいます。本件は筒金の打ち合いです。
筒金とは糊に金粉を混じて絵の具状にしたものを、筒と呼ばれる渋紙を円錐形に巻いたものの中に入れ、その先端から前述の金を絞り出して金の線を表現するものです。
これは保存が悪ければ錆びることがあり、さらには緑青が噴くことがあります。緑色の線というのはこの緑青です。幸い事故部分が裾だったので、元の金、打ち合いの緑青ともに金を入れ直し、さらに打ち合い部分は彩色を施し、さも元からあったかのように柄を作ってしまいます


6「螺鈿の着物」
 
患者: 色留袖
 保護者:30代主婦

症状:着物の上前(膝あたりのこと)の柄に螺鈿が使ってあります。これが割れて剥がれています。直すことができますか。
 


 

 加工そのものは、一旦きれいに剥がしてしまい、再び新しい螺鈿を貼れば直ります。写真もそうですが、周囲を金でくくることで、補強し剥がれにくくします。
 螺鈿は帯から始まり一時大流行し、着物にまで加工されるようになりました。螺鈿とはご存知のように、貝殻を薄く削って、その宝石のような光沢を楽しむものです。元来象嵌細工などに用いられていたものです。それを繊維製品に使うということ自体、ちょっと無理があります。
 螺鈿は貝ですから、そのままだとバラバラに割れてしまいます。そこで表面をコーティングして割れにくくします。帯ですと、「織り込む」ということになりますから、縦糸が細かく螺鈿全体を押さえつける形になりますが、着物だとただ、貼り付けるしかありません。
 初期の螺鈿加工はそのコーティングが不十分なため、写真のように、割れて剥がれ落ちてしまいます。後に表面をUV樹脂というもので保護したものが出てきます。これは透明度が高く、柔軟性にもすぐれますので、厚く塗ることができます。そのままではジェル状ですが、紫外線を当てると固まります。この紫外線照射が不十分だと、再びジェル状に戻り、生乾きのセメダインのようになってしまいます。こうしてジェル状に戻ったUV樹脂が着物のあちこちを汚す事故が相次ぎました。
 ほかにも接着の不具合から螺鈿全体が剥がれ落ちたり、事故が多いので最近は使われなくなってきました。材料屋でも扱い量が少ないと見えて入手が困難です。小さいものなら自作ルアー用に釣具店で売っているものが使えます。



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関連用語解説

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打ち合い


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