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【622】 正反かB反か...?

 

[お名前] 振袖

[書込み時間] 2011/05/23/(Mon) 08:59 

初めまして。
20年程前の友禅の振袖を、今回洗いに出して初めて気付いたのですが、白い菊の花弁の1つが地色である紺色に染まっているのを上から(白い顔料でしょうか?)修正してある箇所がありました←今回洗いに出したらポロポロと粉のようにはがれて来ています。
また、花と花の間や葉と葉の間が白く抜けたままで地色が染まってない箇所があり、2、3ヶ所ならともかく、広い場所では1.5㎠以上、ここもあそこも...と言った具合です。
購入した先は某デパートの呉服売り場、お値段も勉強してもらって一式100万程でした。ちなみに帯は振袖用の帯なのでそんなにお値段はしなかったと記憶しております。20万程度かと。
こう言うものは、感覚の問題もあると思うのですが、お値段を考えると正反なのか、それともB反だったのかとせっかくの思い出の品なのにと悲しい思いです。
悉皆屋さんからすると如何なものなのでしょうか?
また、白い菊の花弁に入ってしまった地色を抜く事は可能なのでしょうか?
長文になりましたが、よろしくお願いします。



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【622-1】 悉皆屋主人からの回答

 

いずれも糊の不具合でしょうか。
手描き友禅は「伏せ」という工程があります。
詳しくは、弊社サイトではありませんが、
私が取材、執筆協力したサイトがありますのでご紹介しておきます。
それではご相談の方に移ります。

1)花弁の修正
友禅では昔から「胡粉(ごふん)」と呼ばれる白い顔料が使われます。
昔は貝殻などが原料でしたが、最近は亜鉛を原料とするものが多いようです。
同じ白でも生地そのままの白と、胡粉の白では、白さが違います。
柄を引き立たせるために生地白で放っておかずに、胡粉で彩色します。
染料と違って透明度がないので、下の色を覆い隠す力があります。

伏せ糊の不具合で柄部分に地色が差し込んでしまったのでしょう。
胡粉で彩色すれば隠れるという判断だったのだと思います。
ポロポロとはがれてくるというのは、材料の問題です。
新しいものほど新開発のいい材料が使われますので、事故が少なくなりますが、
それまでの材料だと、未解決の問題を抱えてることが往々にしてあります。
(逆に問題だらけの技術が未検証のまま広まることもありますが)
ただ、20年前であれば、もうそういう事故は起こさない材料が使われ始めていたと思います。
そこらへんのことは、このたびの文字情報だけではなんとも言えません。

2)染まってない箇所
葉と葉の間ということは、
こういう


具合なのでしょうか。
これも糊の具合でしょうね。

着物も粗悪なものになると、先ず地色だけザーッと染めてしまって、
後から樹脂系の材料で柄をプリントしたものがあります。
それこそ20年ほど前に多く出回り、柄が剥がれる事故が多発しました。
先の胡粉の件ではそれも疑いましたが、
地色が染まってない部分があるということは、
逆にそれはきちんと糊置きをして染めたものであるという証でもあります。

3)正反かB反か
非常にシビアな質問で苦慮します。
京友禅は組合で検品して合否を決めるというような統合されたシステムがありません。
それぞれの業者が自己の判断で検品し出荷します。

手の仕事ですから、不具合の出ることはあります。
何十万もかけて出来上がった商品に不具合があるからといって、
それを不良品としてハネたのでは、商売として成り立ちません。
そこは補正士という職業があって(冒頭の工程サイト参照)
不具合があっても適宜修正して正規の商品として流通させられるようにしてくれます。
それはごく日常のことであって、
電化製品の再整備商品のように新古品扱いではなく、正反として流通します。

染めムラや汚れなどは、当然直しの対象ですが、
おっしゃるような伏せの不具合はスルーされることが多いです。
まあ、1.5㎠というような余程目に余るものは直さないといけませんが、
若干のはみ出しぐらいは辛抱してあげて欲しいです。
補正士の手間賃は誰が払うとお思いですか?
原因のわからないものは我々悉皆が負担しますが、
糊置きの不具合のように、直接に原因のわかるものは、その職人が支払います。
過度の補正は職人の生活を圧迫します。

ここ数年、特に振袖に関しては
インクジェットでプリントされたものが数多く出回っています。
パソコンで作った柄を印刷するだけですから、
こういった糊の不具合なく、きっちりあがります。
ただ、刷り込みのものが剥離の事故を起こしたように
インクジェットも最近の技術だけに、将来どうなるかわかったものではありません。
補正士の中には「インクジェットの商品は受け付けない」と広言する者もいます。
やはり、業界全体が材料や技術を知悉していて、連携がとれるというものです。

「手仕事」というものは、そこそこのことは容認いただく度量を持っていただきたいです。
コンピューターで作ったものの方がいいや、という風潮が広がることを苦々しく思います。

4)花弁に差し込んだ地色
紺のような濃い色は、薄くはなっても完全には抜けないと思います。
手間暇惜しまず費用も厭いなく仕事をすれば、かなり抜けると思いますが、
一旦反物の状態に戻したりする必要があって、料金を考えると現実的ではありません。
剥がれかけの胡粉をキレイに掃除して、そのままもう一度胡粉を塗りなおすか、
或いは補正でそこそこ薄くしてから塗りなおすか、
というあたりが現実的な解決策だと思います。
ただ塗りなおすだけなら、仕立てたまま、
補正をするにしても、一部解くだけでできます。

5)余談
今回は糊に関する話でしたが、
昨今糊置きの職人が高齢化のため次々に廃業しています。
その上若い後継者が育っておらず、危機的な状況です。
そういう工程があること自体よく知られていない上に、
「自分の作品」というものを持つことができない工程なので、
若い人に魅力を感じてもらうことができません。
また、いくら細く美しい糸目を引いても、顧客や消費者に理解されず
仕事に張り合いを持ってもらうことが難しいです。


【621】 襦袢のお洗濯について

 

[お名前] 津田

[書込み時間] 2011/05/18/(Wed) 14:09 

この夏思い切って絹麻と本麻の襦袢を購入しました。
しかしお手入れの方法がわからず困っています。
家庭で洗う場合はエマールなどの洗剤でやさしく手洗いしてすぐさまきれいにしわを伸ばして陰干しで低温のアイロンで当て布をしてアイロンかけで宜しいでしょうか?
色は両方白のベーシックな襦袢です。



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【621-1】 悉皆屋主人からの回答

 

まず、衿の中がくしゃくしゃになると直せないので、
衿の中央をザクザクと縫っておきます。

洗剤はどんな種類があるのかよく知らないのですが、
家庭用洗剤ならまず問題ないと思います。
家庭用でそんなにキツい成分を含むものはないと思いますので。

麻は漂白剤も使えます。
私は麻の絣を持っていますが、
汗で黄ばみやすいので、ハ○ターを使って洗っています。
絣のものを洗うときは、絣の色が飛んだり泣いたりしないか、
まずは目立たないところで試験しないといけません。
絹は漂白剤が使えないと思うので(表示確認してください)
麻混には使わないほうが無難でしょう。

シワになると伸ばすのが大変ですので、そこに注意が必要です。
袖畳みの状態で軽く押し洗いします。
畳む向きを変えたりしながら何度か。

シワ対策に脱水機はなるべく使わないほうがいいですが、
ドボドボのまま干してもなかなか乾きません。
脱水機を使うなら、クシュクシュパッと放り込むのではなく、
袖畳みの状態でドラムの側に張り付くような感じになるよう工夫してください。
干すときは、おっしゃるようにパンパンしてシワを伸ばして干します。

うまくいかなくても、あとのアイロンが大変なだけで、
致命的な事故にはなりませんから、そう神経質にならなくてもいいです。

アイロンは麻は高温でOK。麻混は中温で。
ただし、シミがある場合は加熱によってシミが固着してしまうので、
アイロンをかけずにシミ抜きに出してください。

あ、それと
正絹のものは水分を含むと縮んでしまってどうしようもなくなるので、
仕立てたままでは水洗いできません。


【620】 留袖の白茶け ヤケ?

 

[お名前] 竹の里

[書込み時間] 2011/04/25/(Mon) 00:24 

留袖を22年ぶりに着用するにあたり、たたみシワとりの為2日ほど着物ハンガーに吊っていたところ、出した当初は気がつかなかったのですが、気のせいか胸や背中、袖の両面が少し白茶けているように感じ出しました。その後、シワとりのためあて布に霧吹きをかけ、低温でアイロンをかけました。アイロン前後では色の変化はなかったように思います。

裾周りと同じ黒さにすることは可能でしょうか?



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【620-1】 悉皆屋主人からの回答

 

「白茶けているように感じ」たその原因が問題です。
汚れか、スレか、ヤケか。
それによって対処法が違ってきます。

胸や背中は汗が付き易く、変色しやすい場所ですが、
袖の両面というのが、よくわかりませんね。
袖口付近も汚れやすいところですが、
「両面」とおっしゃるからには、
袖口付近だけでなしに、もっと広い範囲で変色してるのでしょうか。

また、胸、背中は帯によるスレ(摩擦によって生地が毛羽立ち白っぽく見える)も起き易いですが、
やはり袖は帯とは関係ありませんから、違うのでしょう。

となると、光かガスによる色ヤケかもしれません。

色物なら「ハキ合わせ」といって、ヤケた部分に色を塗り重ねて周囲と合わせていくことができますが。
こと黒に関してはこれができません。

もし直すとすれば、
一旦仕立てをほどいて、地色だけ染め直す必要があります。

一口に黒といっても、色みや深みは実に多彩で、
全く同じ黒というのは中々ありません。
これを染料を調合して作るというのは全く不可能で、
部分的に手を加えてこれを補正することはできません。

また、もし同じ黒があったとしても、
きちんとした染色でない黒は
色泣き、色落ちしますので、トラブルの原因になります。

いつお召しになるのか存じませんが、
そう遠くないことであろうと推察いたします。
ほどいて、染め直して、仕立て直してとなると
急いでも1ヶ月半から2ヶ月ほどの日が必要です。
「気のせいか」とおっしゃるぐらいなら、
着用には差し支えない程度の変色なのでしょうか。
ひとまず今回はそのままお召しになるほうがよいでしょう。

地色全体を染め直せば、これが均らされてきれいな黒になりますし、
色が違ってきがちな紋の周囲もあつらえ紋のようにきれいになります。
今後も着用の機会がおありでしたらご検討ください。


【619】 有難うございました。

 

[お名前] 貴子

[書込み時間] 2011/04/08/(Fri) 23:57 

蔦から五三の桐に変更ですので、スガ縫いなら何とかなるのかも、と言う気がして来ました。
ダメ元で一度相談してみます。有難うございました。



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【618】 日向紋を変えたいのです

 

[お名前] 貴子

[書込み時間] 2011/04/07/(Thu) 23:01 

とても素敵な色留袖を頂いたのですが、紋が違っていて着用出来ずに困っています。
日向紋ですが、一つ紋で訪問着仕立てですし、留袖には珍しいモダンな柄行なので、訪問着として着用したいと思っています。
紋を変えるのは大変と聞きますが、何か良い方法はありませんでしょうか。
刺繍などで誤魔化したりは無理でしょうか。



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【618-1】 悉皆屋主人からの回答

 

紋を替えても、袖や胸に柄がありませんから、
訪問着として着用するには無理があります。
最低でも出袖(右袖の背中側)と胸に柄を描き足す必要があります。
そのついでに肩(右肩背)にも柄を描き、それを背紋の位置まで伸ばしてきて
紋の上に柄を描いて隠してしまうという手があります。

それはそれで置いておいて、本題の刺繍です。
紋を入れ替えたいという相談はよくありますが、
書いたり消したり、そう簡単にできるものではありません。
おっしゃるように、刺繍というのはいい手です。

縫い紋で、別の紋をということですと、
線で表現するマツイ縫いなどは不向きで、
面で縫いつぶす日向のスガ縫いでないと元の紋が隠せません。
それも、新しい紋が元の紋を完全に覆うとは考えづらく、
図柄の隙間から元の紋が覗いてしまうでしょう。
ですから、縫い紋を入れるにしても
元の上絵(黒く線描きされた輪郭線)を落として、
白抜きになった部分も塗りつぶさないといけません。
それにしても、元紋が外側にはみ出たら、
その部分はごまかすことができません。

花紋、或いは洒落紋というものがあります。
定紋(家紋)ではなくて、紋のように丸く図案化された花柄と思ってください。
貴子さんはひょっとしてこっちの方を思っておられたでしょうか。
これは定紋と組み合わせて入れられることもよくありますが、
ほとんどは色無地を洒落着っぽく着用するために注文されます。
まれに軽めの附下や振袖にも入れられます。
格式ある訪問着にはやや不向き、色留袖には全くお勧めできません。






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