伊達衿はあるとかないとかじゃなくて、下着地(比翼の生地)と衿を用意して、和裁士さんにそう依頼されればいいだけのことですが、伊達衿は縫いつけてしまわず、自由に付け外しできるようなものにしておかれた方がよいのではないでしょうか。着て行く場所と立場によっては邪魔になります。そもそも比翼仕立てと伊達衿というものが、格として釣合いません。
比翼仕立てになさらなかったのは、伊達衿を付けてお召しになっていたということと抱き合わせて考えるに、ワンランク上の訪問着という位置づけで考えておられたのだと思います。色留袖はその位置づけが曖昧です。叙勲や園遊会などの場では五つ紋付で既婚女性第一の礼装とされていますが、婚礼では黒留袖に次ぐ第二の礼装という扱いです。訪問着よりは格のある装いをさせたい。しかし色留袖を普通に着たのでは華がない。昨今のテーブル席の婚礼では、胸元に柄のない留袖は華やかさの点でどうしても訪問着に負けます。そこを補うように伊達衿をお付けになったのではないでしょうか。
比翼仕立てにすると、第一、第二礼装の留袖としての性格が固定されてしまって、訪問着よりややフォーマルという着方がしづらくなります。一番汎用性が高いのは、下着も伊達衿も色留袖本体と別々に用意することですね。吉澤さんが今後どのような場での着用を想定しておられるのか。そこをよく考えてお決めになったらいいと思います。
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