価格の話しは簡単にはできません。大根の相場とかじゃないのでね。どの程度大変な作業なのか、どの程度丁寧に仕事をしてくれるのが、その辺で随分違ってきますので。お医者さんに「癌の手術は一回いくらですか」って聞いても、「そんなの検査させてもらわないとわからないよ」と言われるでしょう。そんなようなものです。 それにしてもちょっと高いですね。それだけかけようと思えばかけられるのでしょうが、もうちょっと安く上げる工夫があるのじゃないかなと思います。
左メニュー「着物トラブル対処法」>「金加工に関する相談」4溶ける金」 http://www.shikkaiya.jp/clinic /trouble/kinkakou.html#kin4 にも掲載していますが、これと同様の事故ですね。
金は染料のようにそのまま生地に染め付けられるものではないので、「バインダー」と呼ばれる接着剤で生地に貼付けているのです。普通は箔がバインダーを覆っているので問題ないのですが、箔が剥離したり、溶解したり、何らかの理由でバインダーが露出してしまうと、柄部分が粘着を持ってきます。
ちなみに弊社ではティッシュが貼付いたものは「直せません」と言って断ります。ティッシュはまずいですよ。「~対処法」にも書いてますように、ティッシュの繊維が産毛のように残ってしまい、これを完全に除去できません。
ご相談になった呉服店は「特殊な薬」とか「金彩の修復」とかおっしゃってるようですから、一旦バインダーを溶かしてティッシュ繊維を除去するつもりなのでしょうか。このときどうしても柄の箔も一緒に剥がれてしまいますから、あとでこれを修復しようと、そういう方針かもしれませんね。 どっちにしても柄をそのまま残しつつティッシュだけ掃除することはできません。
ただ、この手の加工は、柄そのものがベロンとめくれてしまうこともあります。今回の事故の場合、きれいにめくれてくれた方が、かえってあとの修復はやりやすいです。めくれるのが特定の色の部分だけであるとか、特定の型箔を使った部分だけであるとか、そういう風に限定されていれば、尚修復は容易です。
タック止めはしておいたほうがいいです。すぐに他の部分で同じことが起こります。 これも色んなやり方がありまして、程度の軽いもの(指の腹をぐっと押さえつけて、離すときに軽く粘着を感じる程度)はシリコンで処理をします。1万そこそこでできると思います。程度の重いものは全体に箔を張り直したり、無色の材料で柄部分を覆い直したりします。これは作業の内容により値段は一定でありません。
最後に 保管の際はティッシュでなくて、クッキングシートを使うといいです。「~ペーパー」じゃなくて「~シート」の方。クッキーを焼くときや豚まんを蒸すときに使う、こびりつき防止の耐熱紙。 これは通気性があり、タックを寄せ付けません。しかも入手しやすい。アイロンかけの際は当て布代わりにも使えます。
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