過酸化水素

かさんかすいそ

白生地、精錬

水素と酸素の化合物。強い酸化性と還元性をもつ。
強い酸化作用を利用して漂白剤として多用される。羊毛・絹など窒素を含んだ繊維は塩素系漂白剤で漂白すると黄色を帯びることがあるので、過酸化水素は有用な漂白剤となる。
過酸化水素の分解によって生ずる酸素は、繊維の色素を酸化して無色の有機酸とする。この酸素を発生機の酸素と言い、分子状酸素に見られない活発な酸化力をもつ。過酸化水素の分解は、温度の上昇・PHの増大・日光や金属または金属塩との接触によって促進されるが、酸性で低温であると抑制される

漂白の方法は、約0.5%溶液に少量の硅酸ナトリウムを加えて弱アルカリ性にし、約50℃の浴中で数時間から一夜間処理する。このとき硅酸ナトリウムは安定剤として働き、過酸化水素の分解を抑制して徐々に分解させ、漂白作用をゆるやかにする。このため繊維が酸化されて弱ることが少なく、また有効酸素がガスとなってむだに発散することも少ない。
分子式はH2O2。
殺菌・消毒の作用もあり、オキシフルは過酸化水素の3%水溶液である。染色加工の現場では、水素と略して呼ばれることが多い。純粋のものは無色透明で、オゾン臭のある液体